資金調達の方法一覧|企業が選べる8つの手段と選び方

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【編集部より】

企業の成長や事業継続において、資金調達は避けて通れない重要なテーマです。本記事では、企業が活用できる8つの資金調達方法を体系的に整理し、それぞれの特徴やメリット・デメリット、選択のポイントまでを実務的な視点から解説します。

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資金調達とは何か―企業経営における本質的な意味

事業を立ち上げ、成長させていく上で「資金調達」は避けて通れないテーマです。しかし、「資金調達とは」と問われたとき、単に「お金を集めること」と捉えるだけでは、その本質を見誤る可能性があります。

資金調達とは、企業が事業活動を継続・拡大していくために必要な資金を、外部から計画的に調達する行為全般を指します。新規事業の立ち上げや設備投資、運転資金の確保、さらには経営基盤の強化まで、企業のライフサイクルにおけるあらゆる局面で資金調達が必要となります。

特に重要なのは、資金調達が単なる「資金繰りの対処療法」ではなく、企業の戦略的な成長を支える経営判断であるという点です。どのような方法で、どのタイミングで、どれだけの資金を調達するかによって、企業の財務体質や成長スピード、さらには経営の自由度まで大きく変わってきます。

本記事では、企業が活用できる資金調達方法を4つのカテゴリーに分類し、それぞれ8つの具体的な手段として詳しく解説していきます。自社の状況や目的に合った最適な資金調達方法を選択するための参考としてください。

資金調達方法の4つの分類と全体像

企業が活用できる資金調達方法は、その性質によって大きく4つのカテゴリーに分類されます。それぞれの特徴を理解することで、自社に適した方法を選択する際の判断基準が明確になります。

デットファイナンス(負債による資金調達)

デットファイナンスとは、企業の負債を増やすことで資金調達を行う方法です。「デット(debt)」には「負債」という意味があり、金融機関からの借入や社債の発行による資金調達が該当します。

この方法の最大の特徴は、調達した資金を返済する義務があるという点です。借り入れた金額や期間に応じて利息が発生するため、返済計画を綿密に立てる必要があります。一方で、株式の希薄化を招くことなく資金を調達できるため、経営権を維持したい企業にとっては有効な選択肢となります。

エクイティファイナンス(株主資本による資金調達)

エクイティファイナンスとは、株主資本を増やして資金調達を行う方法です。「エクイティ(equity)」には「株主資本」という意味があり、新株の発行による資金調達が代表的です。

エクイティファイナンスによって調達した資金は、デットファイナンスと異なり返済の義務がないことが最大の特徴です。調達した資金は企業の「資本」となるため、財務状況を改善する効果もあります。ただし、新株発行により既存株主の持分比率が低下する(株式の希薄化)という側面もあり、慎重な判断が求められます。

アセットファイナンス(資産の活用による資金調達)

アセットファイナンスとは、自社が保有する資産をもとに資金調達を行う方法です。「アセット(asset)」には「資産、財産」という意味があり、ファクタリングや固定資産の売却、M&Aによる事業売却などが該当します。

アセットファイナンスは負債を増やさずに資金調達が行えるため、負債比率を上げたくない企業や、金融機関からの借入が難しい企業に向いています。また、返済の義務がないため、資金繰りを気にせずに資金を確保できる点も魅力です。

その他の資金調達方法

上記3つのカテゴリーに該当しない方法として、助成金・補助金の申請があります。これらは国や地方自治体が企業の支援を目的に交付するもので、原則として返済の必要がありません。ただし、申請には一定の条件があり、審査プロセスも必要となります。

分類 主な方法 返済義務 財務への影響
デットファイナンス 金融機関からの融資、社債発行 あり(利息含む) 負債増加
エクイティファイナンス 新株発行、投資型クラウドファンディング なし 資本増加
アセットファイナンス ファクタリング、固定資産売却、M&A なし 資産構成変化
その他 助成金・補助金 原則なし 収益増加

企業が活用できる8つの資金調達方法と実務的なポイント

ここからは、4つのカテゴリーをさらに細分化し、企業が実際に活用できる8つの具体的な資金調達方法について、それぞれの特徴や実務上の注意点を詳しく解説していきます。

方法1:金融機関からの融資

金融機関からの融資は、最も一般的な資金調達方法です。銀行や信用金庫、政府系金融機関などが、企業の信用情報や事業計画をもとに融資を行います。

メリット:

  • まとまった金額を調達できる可能性がある
  • 経営権に影響を与えない
  • 金利負担が明確で返済計画を立てやすい

注意点:

  • 赤字決算や起業間もない場合は審査に通りにくい
  • 担保や保証人を求められることがある
  • 利息とともに返済する義務が生じる
  • 審査には一定の期間が必要

特に中小企業の場合、日本政策金融公庫などの政府系金融機関は比較的融資を受けやすく、創業融資などの制度も充実しています。事業計画書の作成や財務状況の整理など、事前準備をしっかり行うことが融資成功の鍵となります。

方法2:社債の発行

社債とは、企業が発行する債券で、投資家から資金を募る手段です。企業は社債を発行して投資家から資金を集め、償還日に元本を返済します。

メリット:

  • 金融機関以外からも資金調達が可能
  • 比較的大きな金額を調達できる
  • 資金使途の自由度が高い

注意点:

  • 償還日に元本を返済する義務がある
  • 定期的に利息(クーポン)を支払う必要がある
  • 一定規模以上の企業でないと発行が難しい
  • 信用格付けが低いと発行条件が不利になる

社債発行は主に上場企業や信用力の高い大企業が活用する手段ですが、近年では少人数私募債など中小企業でも活用できる仕組みも整備されています。

方法3:新株の発行

新株発行は、新たに株式を発行して投資家から資金を調達する方法です。エクイティファイナンスの代表的な手段として、成長企業やベンチャー企業が活用しています。

メリット:

  • 返済義務がない
  • 自己資本比率が向上し財務が安定する
  • 投資家からのノウハウやネットワークを得られることがある

注意点:

  • 既存株主の持分比率が低下する(株式の希薄化)
  • 経営権に影響を与える可能性がある
  • 株式会社でなければ発行できない
  • 非上場企業は投資家を見つけることが困難な場合がある

特にスタートアップやベンチャー企業にとって、ベンチャーキャピタル(VC)やエンジェル投資家からの資金調達は、事業成長を加速させる重要な手段となります。ただし、投資家との関係構築や、バリュエーション(企業価値評価)の適切な設定など、専門的な知識も必要です。

方法4:クラウドファンディング

クラウドファンディングとは、インターネットを通じて不特定多数の人から資金を募る手段です。プロジェクトの内容や魅力を発信し、共感した支援者から資金を集めます。

主な種類:

  • 購入型: リターン(返礼品)を提供する最も一般的な形式
  • 寄付型: リターンを設定しない社会貢献型
  • 投資型: 株式や新株予約権をリターンとする形式
  • 融資型: 貸付型とも呼ばれ、利息をつけて返済する形式

メリット:

  • 幅広い層から資金を集められる
  • マーケティング効果や認知度向上も期待できる
  • 顧客ニーズの検証にも活用できる

注意点:

  • 魅力的なプロジェクトでなければ資金が集まらない
  • プラットフォーム手数料が発生する(通常10〜20%程度)
  • 目標金額に達しないと資金が得られない場合がある(All or Nothing型)
  • 支援者への対応やリターン発送の手間が発生する

クラウドファンディングは、製品開発や新規事業のスタートアップ資金として特に有効です。成功するためには、プロジェクトの魅力を分かりやすく伝える能力と、SNSなどを活用した情報発信力が求められます。

方法5:M&A(事業売却)

M&Aは「Mergers and Acquisitions(合併と買収)」の略で、会社や事業の一部を売却することで資金を調達する方法です。

メリット:

  • まとまった資金を一度に調達できる
  • 不採算事業を切り離し、コア事業に集中できる
  • 赤字事業でも買い手のニーズが合えば売却可能

注意点:

  • 買い手を見つけるまでに時間がかかる
  • デューディリジェンス(買収監査)が必要で複雑
  • 従業員の処遇など解決すべき課題が多い
  • 希望する金額で売却できるとは限らない

M&Aは「選択と集中」戦略の一環として、メインの事業とのシナジー(相乗効果)が薄い事業を売却する場合などに有効です。ただし、実際に資金を得られるのは交渉がまとまり契約が完了してからとなるため、即座の資金調達には不向きです。

方法6:ファクタリング

ファクタリングとは、自社が保有する売掛債権をファクタリング事業者に売却して、早期に現金化する資金調達方法です。

メリット:

  • 入金サイトを待たずに現金化できる
  • 負債を増やさずに資金調達が可能
  • 審査が比較的早く、即日〜数日で資金化できる
  • 取引先の信用力が重視されるため、自社の信用力が低くても利用可能

注意点:

  • 手数料(割引率)がかかり、本来得られる売上が減少する
  • 売掛債権の範囲内でしか資金調達できない
  • 頻繁に利用すると手数料負担が大きくなる
  • 取引先に通知が必要な場合がある(3社間ファクタリング)

ファクタリングは、取引先の支払いサイトが長く資金繰りが苦しい場合や、急な資金需要が発生した場合の一時的な資金調達手段として有効です。ただし、根本的な解決策ではないため、取引先との支払い条件の見直しなど、本質的な改善策も並行して検討すべきです。

方法7:固定資産の売却

保有している不動産や機械設備などの固定資産を売却して資金を調達する方法です。

メリット:

  • 遊休資産を現金化できる
  • 固定資産税などの維持コストを削減できる
  • 負債を増やさずに資金調達が可能

注意点:

  • 買い手が見つからないと売却できない
  • 希望する金額で売却できるとは限らない
  • 事業に必要な資産を売却すると業務に支障が出る
  • 売却益が出た場合は課税対象となる

使用していない事務所や遊休地など、活用しきれていない固定資産がある場合は、売却を検討する価値があります。ただし、将来的に必要となる可能性がある資産の売却は慎重に判断すべきです。

方法8:助成金・補助金の申請

国や地方自治体が中小企業やベンチャー企業の支援、地域振興などを目的に実施している助成金・補助金制度を活用する方法です。

メリット:

  • 原則として返済の必要がない
  • 負債を増やさずに資金を得られる
  • 起業間もない企業でも申請可能
  • 採択されることで対外的な信用力が向上する

注意点:

  • 使途や金額、スケジュールなど条件が厳しい
  • 公募型の場合、採択されない可能性がある
  • 申請書類の作成に時間と労力がかかる
  • 後払いが原則で、先に自己資金で支出する必要がある場合が多い
  • 経過報告や結果報告の義務がある

代表的な制度として、経済産業省の「ものづくり補助金」「IT導入補助金」「事業再構築補助金」、厚生労働省の「キャリアアップ助成金」などがあります。自社の設備投資や人材育成、事業拡充などの計画に合致する制度がないか、定期的にチェックすることをおすすめします。

資金調達方法を選択する際の重要な判断基準

8つの資金調達方法にはそれぞれメリット・デメリットがあり、企業の状況や目的によって最適な選択肢は異なります。ここでは、資金調達方法を選ぶ際に意識すべき重要なポイントを整理します。

資金調達の目的を明確化する

まず最も重要なのは、「なぜ資金が必要なのか」という目的を明確にすることです。金融機関や投資家に対して、資金使途を明確に説明できなければ、資金調達は成功しません。

主な資金調達の目的:

  • 新規事業の立ち上げ
  • 設備投資・機械導入
  • 運転資金の確保
  • 人材採用・育成
  • 研究開発投資
  • 他社買収・M&A
  • 財務体質の改善

目的が明確になれば、必要な金額や調達のタイミング、返済計画なども具体化できます。これらの情報は、どの資金調達方法を選ぶべきかを判断する重要な基準となります。

必要金額と調達可能性のバランス

資金調達方法によって、調達できる金額の規模は大きく異なります。また、企業の規模や信用力によっても調達可能な金額は変わります。

調達方法 調達規模の目安 調達スピード
金融機関融資 数百万円〜数億円 2週間〜2ヶ月
社債発行 数千万円〜数十億円 1〜3ヶ月
新株発行 数百万円〜数十億円 1〜6ヶ月
クラウドファンディング 数十万円〜数千万円 1〜3ヶ月
ファクタリング 数十万円〜数千万円 即日〜1週間
助成金・補助金 数十万円〜数千万円 3〜12ヶ月

緊急性の高い資金需要に対しては、ファクタリングなどスピード重視の方法を選び、長期的な成長投資には融資や新株発行など大きな金額を調達できる方法を選ぶといった、目的に応じた使い分けが重要です。

財務状況への影響を考慮する

資金調達方法によって、企業の財務状況に与える影響は大きく異なります。

負債比率への影響:
デットファイナンス(融資・社債)は負債を増加させるため、負債比率(負債÷総資産)が上昇します。負債比率が高すぎると、金融機関からの評価が下がり、次回以降の資金調達が困難になる可能性があります。一般的に、負債比率は50〜60%以下が健全とされています。

自己資本比率への影響:
エクイティファイナンス(新株発行)は自己資本を増加させるため、自己資本比率(自己資本÷総資産)が向上します。自己資本比率が高いほど、財務的に安定した企業と評価されます。

キャッシュフローへの影響:
デットファイナンスは定期的な返済が必要なため、将来のキャッシュフローに影響を与えます。返済計画を立てる際は、事業から得られる収益で無理なく返済できるかを慎重に検討する必要があります。

経営の自由度と支配権の維持

資金調達方法によっては、経営の自由度や支配権に影響を与える場合があります。

新株発行による資金調達では、投資家が株主として経営に関与する可能性があります。特にベンチャーキャピタルからの出資を受ける場合、取締役の派遣や重要事項の承認など、一定の経営権を譲渡することになります。

一方、融資やファクタリングなどは経営権に影響を与えないため、経営の自由度を維持したい場合に適しています。ただし、融資の場合は金融機関による経営状況のモニタリングが行われることが一般的です。

金融機関・投資家からの信頼獲得

資金調達を成功させるためには、資金提供者から信頼を得ることが不可欠です。

信頼獲得のポイント:

  • 事業計画の明確性: 調達した資金をどのように使い、どのような成果を生み出すのかを具体的に示す
  • 財務状況の透明性: 正確な決算書を作成し、財務状況を正直に開示する
  • 返済能力の証明: 事業から得られる収益で返済できることを数字で示す
  • 経営者の資質: 経営者としての熱意、誠実さ、業界知識などを伝える
  • ESG経営への取り組み: 環境・社会・ガバナンスへの配慮を示す

特に近年では、ESG経営(環境・社会・ガバナンスを重視した経営)への取り組みが、金融機関や投資家からの評価に大きく影響するようになっています。環境問題への配慮、労働環境の整備、内部統制の強化などに取り組むことで、有利な条件での資金調達につながる可能性があります。

資金調達を成功させるための実践的アプローチ

最後に、資金調達を実際に進める際の実践的なアプローチをまとめます。

ステップ1:現状分析と目標設定

まず、自社の財務状況を正確に把握し、資金調達の目的と必要金額を明確にします。

  • 現在の資金繰り状況の確認
  • 今後6ヶ月〜1年の資金需要予測
  • 調達資金の使途の明確化
  • 目標とする調達金額の設定

ステップ2:最適な資金調達方法の選択

目的や金額、自社の状況に応じて、最も適した資金調達方法を選択します。複数の方法を組み合わせることも有効です。

【編集部より:選択の判断基準】

緊急性が高い → ファクタリング
大規模投資 → 融資、社債、新株発行
返済負担を避けたい → 新株発行、助成金・補助金
経営権を維持したい → 融資、ファクタリング

ステップ3:必要書類の準備と申請

選択した資金調達方法に応じて、必要な書類を準備します。

一般的に必要な書類:

  • 事業計画書
  • 決算書(直近2〜3期分)
  • 資金繰り表
  • 返済計画書(融資の場合)
  • 会社案内・製品カタログ
  • 登記簿謄本

特に事業計画書は、資金調達の成否を左右する重要な書類です。数値計画だけでなく、事業の強みや市場環境、競合分析、成長戦略などを説得力のあるストーリーとして構成することが重要です。

ステップ4:交渉と条件の確定

資金提供者との交渉では、金利や返済条件、株式の発行価格などの条件を詰めていきます。自社にとって無理のない条件であるか、慎重に検討しましょう。

ステップ5:資金調達後のフォローアップ

資金調達が完了した後も、定期的な報告や返済の実行など、資金提供者との関係を維持することが重要です。これは次回以降の資金調達を円滑にするためにも不可欠です。

  • 定期的な経営状況の報告
  • 計画の進捗状況の共有
  • 問題が発生した場合の早期の相談
  • 返済スケジュールの厳守

まとめ:戦略的な資金調達で企業成長を加速させる

企業の資金調達には、デットファイナンス、エクイティファイナンス、アセットファイナンス、助成金・補助金という4つのカテゴリーがあり、具体的には8つの主要な方法があります。それぞれにメリット・デメリットがあり、企業の状況や目的によって最適な選択肢は異なります。

重要なのは、資金調達を単なる「資金繰りの対処」として捉えるのではなく、企業の成長戦略の一環として戦略的に実行することです。目的を明確にし、財務状況への影響を考慮し、資金提供者からの信頼を獲得する―こうした基本を押さえることで、資金調達の成功確率は大きく高まります。

また、一つの方法に固執するのではなく、状況に応じて複数の方法を組み合わせる柔軟性も重要です。例えば、長期的な設備投資には融資を活用し、短期的な運転資金にはファクタリングを利用するといった使い分けが効果的です。

自社の経営状況と必要な資金を入念にチェックし、最適な資金調達方法を選択することで、持続的な企業成長を実現していきましょう。

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