IT導入補助金完全ガイド|補助対象と申請方法

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中小企業のDX推進を支えるIT導入補助金とは

デジタル化が進む現代のビジネス環境において、中小企業や小規模事業者にとってITツールの導入は避けて通れない課題となっています。しかし、システム導入には相応のコストが発生し、特に資金面での余裕が限られる中小企業にとっては大きな障壁となることも少なくありません。

そこで活用したいのが、IT導入補助金です。この制度は経済産業省が主導する国の施策であり、中小企業・小規模事業者等の労働生産性向上を目的として、業務効率化やDX推進に必要なITツール(ソフトウェア、サービス等)の導入費用の一部を補助するものです。2024年度においても引き続き申請が可能で、多くの事業者にとって重要な支援制度となっています。

IT導入補助金の特徴は、単なる資金支援にとどまらず、登録された「IT導入支援事業者」の専門的なサポートを受けながら申請できる点にあります。これにより、ITツール選定から導入、運用まで一貫したサポートを受けることができ、初めてのIT導入でも安心して進めることができます。

実際の活用事例を見ると、その効果は多岐にわたります。生菓子製造業者がECサイトを立ち上げて新規顧客開拓に成功した事例、金融業でバックオフィス業務の効率化とテレワーク率向上を実現した事例、飲食業でセルフレジシステム導入により釣り銭ミスをゼロにした事例など、様々な業種で成果が報告されています。

【編集部コメント】

IT導入補助金は、単なる「お金の支援」ではなく、企業の成長戦略を実現するための重要な施策です。特に人手不足や業務効率化が課題となっている現代において、この補助金を活用したデジタル化推進は、競争力強化の鍵となります。申請には一定の手間がかかりますが、その効果は投資に見合うものといえるでしょう。

IT導入補助金の4つの枠組みと補助対象

IT導入補助金は、企業のニーズや導入目的に応じて4つの主要な枠が用意されています。それぞれの枠には異なる補助額、補助率、要件が設定されており、自社の状況に最適な枠を選択することが重要です。

通常枠(A類型・B類型)の詳細

通常枠は、働き方改革や賃上げなどの制度変更に対応するためのITツール導入を支援する基本的な枠組みです。この枠はA類型B類型の2つに分かれています。

項目 A類型 B類型
補助額 5万円〜150万円未満 150万円〜450万円以下
補助率 最大1/2 最大1/2
必要プロセス数 1プロセス以上 4プロセス以上
賃上げ目標 加点要素 必須
補助対象 ソフトウェア費用、最大2年分のクラウド利用料金、導入関連費用

A類型は比較的小規模な導入を想定しており、「顧客対応・販売支援」「会計・財務・経営」など7種のプロセスのうち1プロセス以上の生産性向上が見込まれれば申請可能です。一方、B類型はより大規模な業務改革を対象としており、4プロセス以上の改善が必要となります。また、B類型では賃上げ目標が審査時に必須要件となっている点が特徴です。

インボイス枠による手厚い支援

2023年10月に開始されたインボイス制度への対応を支援するため、2024年版ではインボイス枠が設けられています。この枠はさらに「インボイス対応類型」と「電子取引類型」に分類されます。

インボイス対応類型の最大の特徴は、通常枠よりも高い補助率が設定されている点です。小規模事業者の場合は最大4/5、中小企業の場合は最大3/4の補助率となり、大幅なコスト削減が可能です。補助額は50万円以下から350万円以下まで対応しており、インボイス制度に対応した会計・受発注・決済ソフトの導入が対象となります。

さらに、この類型ではハードウェアの購入費用も補助対象となっています。PC・タブレット等(最大10万円)、レジ・券売機等(最大20万円)、プリンタ、スキャナ、複合機などの周辺機器も含まれ、総合的なIT環境整備が可能です。

一方、電子取引類型は、受注者である中小企業などに「無償で」アカウントを発行して利用できる受発注ソフトの導入費用を支援するもので、やや大企業向けの支援策となっています。補助額は最大350万円、補助率は中小企業・小規模事業者等で2/3、その他の事業者等で1/2となっています。

セキュリティ対策推進枠でサイバー攻撃に備える

サイバーセキュリティの重要性が高まる中、セキュリティ対策推進枠が設けられています。この枠は、サイバー攻撃による被害リスクを低減するためのITツール導入を支援するもので、補助額は5万円から100万円、補助率は最大1/2となっています。

補助対象となるのは、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公開する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているサービスで、最大2年分の利用料金が補助されます。具体的には、ウイルス対策ソフト、ファイアウォール、不正アクセス検知システムなどが該当します。

複数社連携IT導入類型による地域DX推進

複数社連携IT導入類型は、他の類型とは性質が異なり、10以上の事業者で構成された事業グループが対象となる特殊な枠組みです。サプライチェーンや商業集積地の複数事業者が連携してITツールを導入する取組に対し、通常枠よりも補助率の高い支援を行います。

経費区分 内容 補助率
基盤導入経費 インボイス対応のソフトウェア、ハードウェア 小規模:4/5、中小:3/4
消費動向等分析経費 消費動向分析、経営分析、需要予測システム等 2/3
その他経費 事務費、専門家費用 1/2

この類型の補助額は合計で最大3,000万円と非常に高額で、事業グループの取りまとめに必要な事務費や外部専門家の費用まで補助対象となります。地域全体のDX推進、面的なデジタル化を実現する画期的な取組といえます。

【編集部コメント】

4つの枠組みが用意されていることで、企業規模や導入目的に応じた柔軟な活用が可能となっています。特にインボイス枠の補助率の高さは見逃せません。また、複数社連携IT導入類型は、商店街や業界団体などが主導することで、地域全体のデジタル化を一気に進める可能性を秘めています。自社の状況を整理し、最適な枠を選択することが成功の鍵となります。

IT導入補助金の申請方法と必須準備事項

IT導入補助金を活用するためには、適切な申請手続きと事前準備が不可欠です。ここでは、申請の流れと必要な準備について詳しく解説します。

申請前に必ず確認すべき3つのポイント

申請を開始する前に、以下の3点を必ず確認しておく必要があります。

1. 補助対象事業者の要件確認

まず、自社が補助対象となる中小企業・小規模事業者の定義に該当するか確認が必要です。業種によって資本金や従業員数の上限が異なります。

業種 資本金または出資金 従業員(常勤)
製造業、建設業、運輸業 3億円以下 300人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
小売業 5,000万円以下 50人以下
ソフトウェア業、情報処理サービス業 3億円以下 300人以下

医療法人、学校法人、中小企業団体や財団法人、社団法人、特定非営利活動法人においても、要件を満たせば対象となります。

2. 導入するITツールの選定

補助金の対象となるのは、事前に登録された「IT導入支援事業者」が提供するITツールのみです。公式サイトの「ITツール・IT導入支援事業者検索サイト」で、自社の経営課題に適したツールを選定しましょう。この段階で、支援事業者との連携も開始します。

3. 交付決定前の導入は対象外

非常に重要なポイントですが、補助金の交付決定前に契約・購入したITツールは補助対象外となります。必ず交付決定を受けてから、発注・契約を行うよう注意が必要です。

申請に必要な事前準備(3つの必須アカウント取得)

IT導入補助金の申請には、以下3つのアカウント取得が必須となります。いずれも取得に時間を要するため、早めの準備が推奨されます。

gBizIDプライムアカウントの取得

補助金の交付申請では「gBizIDプライム」のIDとパスワードが必要です。新規ID発行には約2週間程度を要するため、申請スケジュールを考慮して早めに取得しておきましょう。gBizIDは、国が運営する法人・個人事業主向け共通認証システムで、様々な行政サービスで利用できます。

SECURITY ACTIONの自己宣言

IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が創設した「SECURITY ACTION」の自己宣言が申請要件となっています。これは、事業者自らが情報セキュリティ対策に取り組む姿勢を示す制度です。

申請には「1つ星」または「2つ星」の宣言が必要で、SECURITY ACTION自己宣言者サイトで使用規約を確認後、新規申し込みを行います。申し込み後、約1〜2週間でロゴマークがダウンロード可能になります。なお、セキュリティ対策推進枠では「2つ星」を取得すると加点要素となります。

みらデジ経営チェックの実施

中小企業庁のデジタル化支援ポータルサイト「みらデジ」における「みらデジ経営チェック」の実施が必要です。このチェックは、自社の経営課題解決に向けた「気づき」を得るためのもので、gBizIDを利用して実施します。

同業種や同地域の事業者と比較しながら、自社のデジタル化の取り組み状況を確認できます。チェック後は必ずgBizIDとの連携を行っておきましょう。通常枠では必須要件、インボイス枠とセキュリティ対策推進枠では加点要素となります。

交付申請から補助金受領までの10ステップ

事前準備が整ったら、以下の流れで申請を進めます。

ステップ1:募集要項・制度趣旨の確認

IT導入補助金の公式サイトで公募要領を確認します。補助対象経費、補助率、補助上限、審査内容などを詳細に把握しましょう。

ステップ2:IT導入支援事業者・ITツールの選択

自社の経営課題を整理し、適切なITツールと支援事業者を選定します。

ステップ3:必須アカウントの取得

前述のgBizIDプライム、SECURITY ACTION、みらデジ経営チェックを完了させます。

ステップ4:交付申請

IT導入支援事業者との共同作成により申請を行います。具体的には以下の流れです。

  • IT導入支援事業者から「申請マイページ」の招待を受け、基本情報を登録
  • 交付申請に必要な情報入力や資料添付を実施
  • IT導入支援事業者が導入予定ITツールと事業計画を入力
  • 内容確認後、事務局へ提出

申請書作成時には、以下の点に特に注意が必要です。

  • 自社の経営課題を具体的に把握し、改善に向けた明確な問題意識を持つ
  • 導入するITツールの効果が、改善すべき事項とマッチしているか確認
  • 労働生産性向上の目標値を明確に設定(通常枠の場合、1年後に3%以上の向上が必要)
  • 加点項目(賃上げ、クラウド製品、サイバーセキュリティ対策、インボイス対応製品など)の積極的な取り組み

ステップ5:交付決定の通知

審査を経て、交付決定の通知を受けます。この通知を受けて初めて、ITツールの発注・契約が可能になります。

ステップ6:ITツールの契約・支払い

交付決定後、ITツールの発注、契約、支払いを行います。繰り返しになりますが、交付決定前の契約は補助対象外となるため注意が必要です。

ステップ7:事業実績報告

ITツールの発注、契約、納品、支払いが完了したことを証明する書類を提出します。この報告も申請者とIT導入支援事業者の双方による入力が必要です。

ステップ8:補助金額の確定

事業実績報告の審査が完了すると、補助金額が確定します。「申請マイページ」で確定額を確認できます。

ステップ9:補助金の交付

事務局による確認が終了後、補助金が交付されます。

ステップ10:事業実施効果報告

補助事業者は、申請マイページに期限までに実施効果についての情報を入力します。特に通常枠のB類型などで、給与支給総額の増加目標や事業場内最低賃金の増加目標が未達の場合、補助金の全部または一部の返還が求められる可能性があります。

【編集部コメント】

申請手続きは一見複雑に見えますが、IT導入支援事業者が伴走してサポートしてくれるため、初めての方でも安心です。特に重要なのは、事前準備を早めに済ませることと、交付決定前に契約しないという2点です。また、申請書作成時には「なぜこのITツールが必要なのか」「どのような効果が見込まれるのか」を具体的に説明できるよう、自社の課題を整理しておくことが採択への近道となります。

2024年度の申請スケジュールと採択のポイント

IT導入補助金2024の申請スケジュールは複数回に分けて設定されており、各枠によって締切日が異なります。計画的な申請が成功への鍵となります。

主要な申請締切日一覧

2024年度のIT導入補助金における主要な申請締切日は以下のとおりです。

枠・類型 第1次締切 第2次締切
通常枠 2024年3月15日 2024年4月15日
インボイス枠(インボイス対応類型) 2024年3月15日 2024年3月29日
インボイス枠(電子取引類型) 2024年3月15日 2024年4月15日
セキュリティ対策推進枠 2024年3月15日 2024年4月15日
複数社連携IT導入類型 2024年4月15日

なお、IT導入支援事業者とITツールの登録申請は2024年2月16日から開始されており、終了時期は後日案内される予定です。スケジュールは随時更新されるため、公式サイトでの確認が不可欠です。

特にインボイス枠(インボイス対応類型)は、他の枠よりも申請機会が多く設けられる傾向にあります。これは、インボイス制度対応が喫緊の課題である企業が多いことを踏まえた措置といえます。

採択率を高める5つのポイント

IT導入補助金は申請すれば必ず採択されるものではありません。審査を通過するためには、以下のポイントを押さえることが重要です。

1. 経営課題の明確化と具体性

単に「業務効率化したい」といった漠然とした目標ではなく、「受発注業務に1日3時間かかっており、これを1時間に短縮したい」など、具体的な課題と目標を示すことが重要です。数値で示せる課題は必ず定量化しましょう。

2. ITツールと課題のマッチング

選定したITツールが、提示した経営課題の解決に本当に有効かを論理的に説明できる必要があります。ツールの機能と課題の因果関係を明確にしましょう。

3. 労働生産性向上の目標設定

通常枠の場合、1年後に労働生産性を3%以上向上させることが求められます。この目標達成の根拠を具体的なデータや計画で示すことが審査通過の鍵となります。労働生産性は「営業利益+人件費+減価償却費」を「労働投入量(従業員数×1人当たり年間就業時間)」で割った値で算出されます。

4. 加点項目への積極的な取り組み

以下のような加点項目を積極的に申請書に盛り込むことで、採択率が向上します。

  • 賃上げへの取り組み:給与支給総額や事業場内最低賃金の引き上げ計画
  • クラウド製品の導入:オンプレミス型よりもクラウド型が推奨される傾向
  • サイバーセキュリティ対策:SECURITY ACTIONの2つ星取得など
  • インボイス対応製品:インボイス制度に対応したITツールの選択
  • みらデジ経営チェックの実施:デジタル化への積極的姿勢の表明

5. IT導入支援事業者との綿密な連携

IT導入支援事業者は、多くの申請実績を持つプロフェッショナルです。彼らの知見を最大限活用し、申請書のブラッシュアップを繰り返すことが重要です。遠慮せずに質問し、アドバイスを求めましょう。

申請時期の選定戦略

複数回の締切が設定されていますが、どの回で申請するかも戦略的に考える必要があります。

早期申請のメリット

  • 予算が潤沢で採択率が高い可能性がある
  • 早期にITツールを導入でき、効果を早く享受できる
  • 万が一不採択でも、次回締切で再申請する時間的余裕がある

後期申請のメリット

  • 先行する申請事例を参考にできる
  • 準備に十分な時間をかけられる
  • IT導入支援事業者の対応が落ち着いている可能性がある

ただし、予算には限りがあるため、後期になるほど採択が厳しくなる可能性も考慮する必要があります。自社の準備状況と導入の緊急性を総合的に判断して、最適な申請時期を選択しましょう。

IT導入支援事業者の選び方

IT導入補助金の成否は、パートナーとなるIT導入支援事業者の選定に大きく左右されます。以下の観点で事業者を選びましょう。

  • 申請実績の豊富さ:過去の採択実績が多い事業者は、審査ポイントを熟知している
  • 業種の専門性:自社の業種に特化したITツールを扱う事業者は、課題理解が深い
  • アフターサポート体制:導入後の運用支援や保守体制が充実しているか
  • コミュニケーションの質:質問への回答が迅速で丁寧か、提案が具体的か

公式サイトの「ITツール・IT導入支援事業者検索サイト」では、業種や地域、ツールの種類などで絞り込み検索が可能です。複数の事業者から見積もりを取り、比較検討することをお勧めします。

【編集部コメント】

申請スケジュールは年度によって変更される可能性があるため、公式サイトの最新情報を常にチェックすることが重要です。また、締切日ギリギリの申請は避け、余裕を持ったスケジュールで準備を進めることを強くお勧めします。特にgBizIDの取得には2週間程度かかるため、「申請したいのにアカウントがない」という事態を避けるためにも、早めの準備開始が成功の秘訣です。IT導入支援事業者との相性も重要なので、複数の事業者と面談し、自社の課題を最もよく理解してくれるパートナーを選びましょう。

IT導入補助金活用の成功事例と効果測定

IT導入補助金を活用して実際に成果を上げた企業の事例を見ることで、自社での活用イメージがより具体的になります。ここでは、業種別の成功事例と効果測定のポイントを紹介します。

業種別の活用成功事例

製造業の事例:生菓子製造業でのEC-CUBE導入

ある生菓子製造業者は、IT導入補助金を利用して自社ECサイトを立ち上げるため「EC-CUBE」を導入しました。それまでは卸売と店舗販売のみで、商圏が限定されていましたが、ECサイト開設により全国からの注文が可能になりました。結果として、新規顧客の開拓に成功し、売上が大幅に増加しました。特に季節商品の予約販売システムを構築したことで、計画的な生産が可能となり、廃棄ロスの削減にもつながりました。

金融業の事例:マネーフォワード クラウド導入

金融業を営むある企業は、バックオフィス業務の効率化を目的に「マネーフォワード クラウド」を導入しました。クラウド型のため、オフィス外からでもリアルタイムで経理処理や承認作業が可能となり、管理部門の作業効率が大幅に向上しました。また、データの自動連携により入力ミスが減少し、月次決算の早期化も実現しました。さらに、在宅勤務が容易になったことでテレワーク率が上昇し、従業員の満足度向上にもつながっています。

飲食業の事例:テンポスエアー導入

飲食店を経営する事業者は、IT導入補助金を活用して「テンポスエアー」というセルフオーダー・セルフレジシステムを導入しました。顧客が自らタブレットで注文し、会計もセルフレジで行うシステムにより、スタッフの作業負担が大幅に軽減されました。特に、釣り銭の受け渡しミスがゼロになったことで、レジ締め作業の時間が短縮され、現金管理の精度も向上しました。さらに、システムに組み込まれた販促機能により、おすすめメニューの訴求が効果的に行われ、客単価が向上するという副次効果も得られました。

教育・学習支援業の事例:Microsoft 365とZOHO CRM導入

教育・学習支援業を営む企業は、IT導入補助金を利用して「Microsoft 365 Business Standard」と顧客管理システム「ZOHO CRM スタンダード」を導入しました。これにより、出先でのオンラインミーティングやスケジュール管理が可能になり、移動時間の削減と業務効率化を実現しました。特に、顧客情報の一元管理により、営業活動の質が向上し、対面でのミーティング時間を5割削減することに成功しました。空いた時間をサービス品質の向上に充てることで、顧客満足度も向上しています。

医療業の事例:クラウド型電子カルテWiseStaff-9 Plus導入

歯科医院では、IT導入補助金を利用してクラウド型電子カルテ「WiseStaff-9 Plus」を導入しました。従来の紙ベースのカルテ管理から脱却し、カルテ入力の効率化と診療の迅速化が図られました。過去の治療履歴や画像データがすぐに参照できるようになり、患者への説明がより丁寧かつ分かりやすくなりました。また、予約管理機能の活用により、診療の待ち時間が短縮され、患者満足度が向上しました。クラウド型のため、複数の診療所間でのデータ共有も容易になり、グループ全体でのサービス品質向上につながっています。

効果測定の重要性と方法

IT導入補助金を活用してITツールを導入した後は、その効果を適切に測定し、報告する必要があります。特に通常枠のB類型では、賃上げ目標の達成が必須となっており、未達の場合は補助金の返還が求められる可能性があります。

労働生産性の測定

IT導入補助金の効果測定で最も重要な指標が労働生産性です。以下の計算式で算出されます。

労働生産性 = (営業利益 + 人件費 + 減価償却費) ÷ (従業員数 × 1人当たり年間就業時間)

ITツール導入前と導入後で、この数値がどの程度向上したかを測定します。通常枠では1年後に3%以上の向上が求められますので、定期的にモニタリングすることが重要です。

業務時間の削減効果

ITツール導入前後で、特定の業務にかかる時間がどの程度削減されたかを測定します。例えば以下のような指標です。

  • 月次決算に要する日数:10日→5日(50%削減)
  • 受発注処理にかかる時間:1日3時間→1時間(67%削減)
  • 在庫管理にかかる工数:週10時間→週3時間(70%削減)

コスト削減効果

ITツール導入により削減できたコストを金額で把握します。

  • 残業代の削減額
  • 紙・印刷費の削減額
  • 外部委託費の削減額
  • 通信費・郵送費の削減額

売上・利益への貢献

ITツール導入が売上や利益にどの程度貢献したかも重要な指標です。

  • 新規顧客数の増加
  • 客単価の向上
  • リピート率の向上
  • 営業利益率の改善

継続的な効果を生むための運用のポイント

ITツールは導入して終わりではなく、継続的に活用してこそ効果が最大化されます。以下のポイントを押さえましょう。

従業員教育の徹底

新しいITツールを導入しても、従業員が使いこなせなければ意味がありません。IT導入支援事業者のサポートを活用し、操作研修を実施しましょう。また、マニュアルを整備し、いつでも参照できる環境を作ることも重要です。

定期的な利用状況の確認

導入後しばらくすると、便利な機能があるにも関わらず使われていないケースがあります。定期的に利用状況を確認し、活用されていない機能があれば、その理由を分析して改善策を講じましょう。

業務フローの見直し

ITツール導入を機に、業務フロー自体を見直すことで、さらなる効率化が図れます。「今までこうやっていたから」という思考から脱却し、ITツールの機能を最大限活用できる業務フローに再設計しましょう。

データの活用

多くのITツールは、業務データを蓄積・分析する機能を持っています。これらのデータを経営判断に活用することで、IT投資の効果はさらに高まります。売上データ、顧客データ、在庫データなどを定期的に分析し、改善のヒントを見つけましょう。

【編集部コメント】

IT導入補助金を活用した成功事例を見ると、単にツールを導入しただけでなく、業務フローの見直しや従業員教育を並行して実施していることが共通点として挙げられます。また、効果測定を適切に行うことで、次の投資判断にもつながります。補助金申請時に設定した目標を達成するためには、導入後の運用が極めて重要です。IT導入支援事業者のアフターサポートを積極的に活用し、継続的な改善サイクルを回していくことが、真の業務改革につながります。

まとめ:IT導入補助金を最大限活用するために

IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者のデジタル化とDX推進を強力に支援する制度です。本記事で解説したように、2024年版では通常枠、インボイス枠、セキュリティ対策推進枠、複数社連携IT導入類型という4つの枠組みが用意され、企業の多様なニーズに対応しています。

特に注目すべきは、インボイス枠における高い補助率です。小規模事業者で最大4/5、中小企業で最大3/4という補助率は、IT投資のハードルを大きく下げてくれます。インボイス制度への対応が必要な事業者にとっては、この機会を逃す手はありません。

申請を成功させるためには、以下のポイントを押さえることが重要です。

  • 早めの準備開始:gBizIDの取得、SECURITY ACTIONの宣言、みらデジ経営チェックの実施には時間がかかるため、余裕を持って準備を始める
  • 経営課題の明確化:単なる「効率化したい」ではなく、具体的な数値目標を伴った課題設定を行う
  • 適切なITツールとパートナー選び:自社の課題に最適なITツールを選定し、実績豊富なIT導入支援事業者とパートナーシップを組む
  • 加点項目への積極的取り組み:賃上げ、クラウド製品、セキュリティ対策などの加点要素を申請書に盛り込む
  • 交付決定後の契約:補助対象となるのは交付決定後に契約したITツールのみという点を徹底する

また、ITツール導入後の運用も同様に重要です。従業員教育を徹底し、定期的に利用状況を確認し、業務フローを見直すことで、IT投資の効果を最大化できます。効果測定を適切に行い、事業実施効果報告で求められる労働生産性の向上目標を達成することも忘れてはなりません。

IT導入補助金は、国が推進する重要な施策であり、安心して利用できる制度です。デジタル化の波は今後さらに加速することが予想されます。この機会にIT導入補助金を活用し、自社のデジタル基盤を強化することで、競争力の向上と持続的な成長を実現しましょう。

申請を検討されている事業者の方は、まず公式サイトで最新情報を確認し、自社に適した枠組みを選択することから始めてください。そして、信頼できるIT導入支援事業者とともに、具体的な申請準備に取り組んでいくことをお勧めします。

【編集部コメント】

IT導入補助金は、単なる「補助金獲得」を目的とするのではなく、自社の経営課題を解決し、競争力を強化するための「きっかけ」として捉えることが重要です。補助金申請のプロセスで経営課題を整理し、ITツール導入で業務を改革し、効果測定で次の戦略を立てる。このサイクルを回すことで、真のデジタルトランスフォーメーションが実現します。2024年度も引き続き予算が確保されていますので、ぜひこの機会を活用し、一歩先を行く企業へと進化してください。

編集チーム

BtoB企業のマーケティング支援を担当しているBBマーケティングが運営しています。
コラムや用語集は生成AIを活用しながら編集チームによる監修の上で掲載をしています。
会計サービスのマーケティング支援で学んだ事や活用できる情報を掲載していきます。
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